[セミナーレポート]珊瑚のはなし。

2010年7月24日に開催した第4回ムスブセミナーの採録レポートです。
近年の珊瑚密漁問題を考慮して、講師の助野さんに一部加筆をいただきました。
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珊瑚のはなし。

宝石の中で数少ない有機宝石「珊瑚」。
古くからさまざまなジュエリーに使われてきた
珊瑚ではありますが「じつはあんまり良く知らない」という方も
多いのではないでしょうか。
今回は珊瑚のプロに、成り立ちから種類までを
じっくりとお話しいただきました。

[開催日] 2010年 7月24日(土)
[講師] 助野悦之氏 (株式会社高知県珊瑚 アドバイザー、GIA.GG)

[講師プロフィール]
神戸で珊瑚の卸し・小売業を営む「貴海」(たかみ)の二代目として生まれる。「珊瑚の本場で、珊瑚についての知識を深めたい」との思いから、 20代前半より株式会社高知県珊瑚へ赴き研鑽を積む。現在は珊瑚アドバイザーとして販売を担当する傍ら、展示会やセミナー等で珊瑚の知識普及に務める。
高知県珊瑚 HP  http://www.kochikensango.jp/

珊瑚は鉱物ではなく生物
宝石珊瑚の生態
まず、珊瑚の生体についてお話したいと思います。
珊瑚は宝石の一つではありますが、じつは、鉱物ではなく生物です。
珊瑚の表面には、「ポリプ」というまるでイソギンチャクみたいな形をしたものが
複数、存在しています。
宝石珊瑚は深いところでは1500メートルほど、
浅いところでは30~50メートルほどの
ところで発見された例があります。
珊瑚には2つの繁殖方法がありまして、
一つはこのポリプが有性生殖をする方法。
卵が生まれ、孵化したものは「プラヌラ幼生(ようせい)」となって海中を漂い、
群体を形成するための基盤を探します。
プラヌラ幼生はやがて海の底に着床し、成長してポリプとなって、
無性生殖で分裂していきます。
この各ポリプをつなぐ部分が骨格となり、宝飾の珊瑚として使われます。
われわれが宝飾品として扱っているものは、じつは「珊瑚の骨格」なんですね。
もう一つは「破片化」という繁殖方法もあります。
珊瑚が海中で嵐などによって倒されたり、枯れて破片ができます。
この破片が海底に着床し、成長してポリプとなって無性生殖で分裂していきます。

種類いろいろ
宝飾に使われる珊瑚は?
珊瑚はポリプの触手の数によって、大きく2つに分類されます。
宝飾に使われる珊瑚の多くは、「八放珊瑚(はっぽうさんご)」と呼ばれる、
8つの触手を持つものです。
もう一つは「六放珊瑚(ろっぽうさんご)」と呼ばれる、
6の倍数の触手をもつものです。
ただし、希少性や美しさの面から
八放珊瑚の中にも宝石としては扱われない種類もありますし、
逆に、六放珊瑚の中にも宝石のように扱われている種類もあります。

伝統的な珊瑚の漁は、船から重りや岩をつけた網の束を海中へ降ろし、
すでに倒れている珊瑚などをひっかけて揚げます。
高知県では、網による採取は県の指定でとれる範囲が決まっています。
こうして環境に対配慮しているんですね。
最近では潜水艦による採取も行われています。
先ほどの方法ですと、倒れている珊瑚が確実に網であがるともいえませんし、
潜水艦での採取のほうが能率がいいと言えるでしょうか。

宝石として扱われる珊瑚は
じつは少数
珊瑚はたいへん種類が多い生物ですが、
宝石として扱われる価値の高い珊瑚は限られていて、
以下の条件を満たしたものとなります。

◇八放珊瑚のコラリウム(Corallium)属、もしくは
2003年に創設されたパラコラリウム(Paracorallium)属に属する
◇主要成分である炭酸カルシウム(CaCO3)の結晶構造がカルサイト
で構成されている
◇モース硬度は3.5、比重は2.6~2.7

日本では「宝石珊瑚」というカテゴリーで
区別しています。
この「宝石珊瑚」というカテゴリーを置いている国は
外国ではアメリカ、イギリス、イタリアがあります。
カテゴリーをもうけていない国もあります。
英語では「プレシャスコーラル」、鑑別書での記載は
「天然さんご」、宝石珊瑚でないものは「天然さんご(貴重でない)」となります。

先ほどお話しした、
宝石珊瑚である「八放珊瑚のコラリウム属」に属する珊瑚は
次のものです。
1 地中海珊瑚 … 水深30~200メートル。通称「サルジ」
2 桃珊瑚 …水深150~400メートル。1873年に五島、男女列島近海で発見
3 白珊瑚 … 水深100~200メートル。通称「シナ海」。1932年、室戸沖で発見
4 深海珊瑚 … 水深800~1500メートル。1979年、ミッドウェー諸島深海域で発見
5 ミッド … 水深500~800メートル。1965年、ミッドウェー諸島で発見
6 ガーネット … 水深500~800メートル。1970年、ミッドウェー海域で発見
7 ミス … 水深250~400メートル。1976年、台湾フィリピン寄りの海域で発見
8 ヒメ … 水深1000メートルくらい
ミスはもう採り尽くされたとも言われており、市場ではミスとヒメは同様に扱われています。

もう一つ、「八放珊瑚のパラコラリウム属」に属する宝石珊瑚はこちらになります。
赤珊瑚(あかさんご) … 水深100から400メートル 1812年室戸沖で発見
発見年は一般的に1812年室戸沖で発見といわれていますが、
実際には、赤、白、桃色珊瑚は江戸時代の後期には
漁師の間で相当量の水揚げがあったのではといわれています。
ただし、土佐藩では漁を禁じていて、その理由は
採れることが幕府に知れると強制的に献上させられてしまうという
心配もあったと思われます。

珊瑚のグレーディングの
ポイント
珊瑚のグレーディング、鑑別についてお話ししましょう。
グレーディングのポイントになるものは
以下となります。
・キズ
キズとは珊瑚が成長する際、
表面に付着した生物や不純物を取り込んでできた穴のことです。
・斑(ふ)
珊瑚の原木をカットしたときに、
骨軸の中心にあらわれる、白い部分を指します。
斑はデメリットばかりではなく、
鑑別の際にとても重要なものでもあるんですね。
というのは、宝石珊瑚に似た色をしながら、
まったく価格帯が異なる珊瑚が存在します。
そうしたグレーディングに迷った際、
この斑によって、宝石珊瑚か、
それとも違う珊瑚か見分けることができるのです。斑は基本的に珊瑚の中心の「骨軸」に出来るので、
磨いたり削ったりして落とすことができません。
だから、斑やヒなどがまったく見あたらない宝石珊瑚は
まさに自然が生み出した奇跡です。
これは「完品(かんぴん)」と呼ばれて非常に価値が上がります。
・シミ
珊瑚を研磨する際に出てくる、文字通り茶色いシミのようなものです。
シミを抜くために、過酸化水素に浸ける「シミ抜き」という作業が行われます。
ところが、漬けすぎると艶が落ち、製品として魅力がないものになるので、
浸ける時間には注意が必要です。
・ヒ
これはダイヤで言ったらフェザーのようなものと考えてください。
ヒは耐久度に大きく影響します。
ヒがあるから後々、必ず欠けるわけではもちろんありませんが、
ヒの有無で珊瑚の価値が変わってはきますね。
・マキ
一見「ヒ」と似ていますが、成長する際に出来たものでヒとは異なり、
珊瑚の耐久性に深刻な影響を与えるものではありません。
ヒとの見分けは、成長する際に出来たものなので、
木でいう年輪に相当する成長線にそって発現することが多いです。

世界的に大人気な珊瑚 その1
日本産の真っ赤な「血赤」
それでは、それぞれの珊瑚について
もう少し説明をしていきましょう。
珊瑚の種類の中でいま世界的に価値が高い「赤珊瑚」は、
業界では「血赤」と呼ばれています。
学術名は「パラポリウムヤポニカム」といいまして、
基本的にすべて日本産です。
赤が強ければ強いほど価値が上がり、丸玉は一番価値が高いです。
なぜなら、丸玉は歩留まりが悪いので、大きな原木が必要となるからですね。
もし、斑を避けて直径9ミリ玉を作ろうとすると
単純に計算すると直径20ミリ以上の原木が必要となります。
おそらく、市場に流れるものでは直径15ミリ以下がほとんどです。
血赤の丸玉はよく模造品もつくられます。
そのほか、地中海産の珊瑚でも赤の丸玉が作られたりもしますので、
見分けるのに手がかりとなるのが
先ほどお話しした「斑」の有無です。
ジュエリーに加工する際は、斑が台座にくるようにします。
ですので、一見きれいな丸玉のジュエリーでも、
ひっくり返してみると台座のところに斑がある--
ということもあるかと思います。

日本では、土佐近海沖で珊瑚がとれます。
日本で採れた珊瑚は高知に集まりますので、
珊瑚の本場は高知県ということになるかと思います。
昔は五島列島、小笠原も産地として有名でしたが、
現在は密漁船も多く来ており、新聞をにぎわせています。
日本で採れる宝石は少ないですが、
パールと、そして珊瑚の血赤、
後でお話しする本ボケは、世界的に見ても価値が高いといえるでしょう。

発見時期にはさまざまな説がありますが、
日本産の宝石珊瑚が一般に流通しはじめたのは、
明治時代になってからです。
それまでは、世界的に価値が高かった珊瑚は
地中海で採れる「地中海珊瑚」でした。
地中海珊瑚は日本産の血赤と似た色合いですが、
血赤ほど赤の濃さはありません。
「地中海珊瑚」は日本では、「胡渡り(こわたり)」とも呼ばれています。
「胡」とはペルシャのことです。
昔、日本に珊瑚はペルシャから入ってきましたので
ペルシャにちなんで胡渡りといいます。
血赤と地中海珊瑚については、
この後「歴史」をお話しするときにも詳しく触れます。
世界的に大人気な珊瑚 その2
日本産の「本ボケ」
日本でとれる「桃珊瑚」、通称「本ボケ」も
世界的にたいへん価値が高い珊瑚です。
1873年に五島列島の近海で発見された珊瑚ですね。
柔らかな透明感のあるピンク色をした
非常に美しい珊瑚です。
少し前、本ボケに似た色合いの桃色珊瑚がベトナムで採れたと
話題になりましたが、実際には色ムラが多いものでした。
桃珊瑚のほか、ピンク色をしている珊瑚には、先ほどお話しした
「深海珊瑚」「ミッド」「ミス」「ガーネット」「ヒメ」があります。
とくにピンク色の珊瑚の中でも本ボケは
採取量が極めて少なく、高知での入札会でも
お目にかかれないこともあります。

ただ、本ボケに近い、淡いピンク色の珊瑚では
「ミス」や「ヒメ」が存在しますので、
より安価でおなじような色合いのものがほしいという場合は
こちらをお薦めします。
「ミス」や「ヒメ」と「本ボケ」はよく似た色合いをしていますが、
日本の珊瑚業者の間では、より透明感があるものを「ヒメ」、
より柔らかいピンク色で透明感が柔らかいものを
「本ボケ」と見分けています。

「ミス」は1976年に台湾沖で発見された珊瑚ですが、
じつはもうこのミスはもう採り尽くしてしまったといわれています。
そのため、その後もう少し深いところ、水深400メートル付近から
同じような色合いの珊瑚が見つかりましたので、
台湾がこちらも「ミス」と名付けて流通させています。

ピンク珊瑚の一種、「ヒメ」ですが、
中には純白のヒメも存在します。
ヒメは珊瑚の中では価格としては安いほうですが、
純白の「ヒメ」は、近年では一番価格の上昇率が高い珊瑚です。
「深海」も美しい白い珊瑚ですが、
残念なのは、「ヒ」が入りやすいことです。
深海の1200メートルくらいから引き上げてくるので
水圧によって、最初からもうヒが入っているものも多いんですね。

ピンク珊瑚の中には、ピンクと白の両方の色目が入った珊瑚もあります。
これらは「スカッチ」と呼ばれます。
スカッチは色を生かして彫り物にすると、とても面白いものが
できるんですよ。

ちなみに、日本で採れる「白珊瑚」は「シナ海」とも呼称されます。
1932年、土佐の室戸沖から偶然に釣り上げられました。
釣り人である戎屋幸之丞(えびすやこうのじょう)の名前をとって
学名は「コラリウム・コーノジョイ」と命名されています。

このように珊瑚にはじつに色々な種類がありますが、
一般的に業界で美しいとされているのは
ピンク珊瑚ならば「本ボケ」、「ミス」、「ミッド」の一部。
白なら「ヒメ」や「シナ海」といえるかと思います。

世界でもっとも古い珊瑚は
地中海珊瑚?
装飾品として扱われた珊瑚の中で、
一番古いものはドイツから出土した2~3万年前のものとされています。
この珊瑚の種類は「地中海珊瑚」とする説もあります。
その後、クレタ文明、ミケーネ文明でも珊瑚は見つかっています。
地中海珊瑚はヨーロッパのほか、
中国やチベットでも宝物として大切にされました。
地中海珊瑚の赤色は、古代においてはお守りや呪術的意味をもっていたんですね。
中国では唐代、700年頃にはすでに宝石として貴重だったという記録が
かなり多く見られます。
日本では正倉院の宝物として珊瑚の記録があります。

地中海珊瑚は、かつてはアラブの商人が扱っていたことがあったそうですが、
中世以降はもっぱら、イタリア商人が扱っていました。
イタリアには珊瑚を加工する技術や、
カメオなどを彫る技術を学ぶ学校が作られ、
トレデルグレコ、シャッカは珊瑚貿易で大いに栄えます。
ところが、しだいに地中海の珊瑚は乱獲によって採れなくなってきました。
そんな時期に登場したのが、日本産の魅力的な「血赤」や「桃珊瑚」です。
良質な日本産珊瑚の中でも、
没落したイタリアの珊瑚商人たちが目を付けたのが、
「本ボケ」と呼ばれる桃珊瑚でした。
このような美しいピンク色の珊瑚は、
地中海珊瑚には見られませんでした。

そのため、本ボケはヨーロッパでは「エンゼルスキン」と呼ばれ、
欧米人の肌色と非常によく合う珊瑚として重宝されました。
また、桃珊瑚は粘りけが強いので彫刻にも向きます。
カメオにもうってつけの素材で、
イタリア商人たちは日本から安価で輸入した桃珊瑚が大変に売れたため、
おかげで息を吹き返したそうです。
当時のヨーロッパの貴族がもっていたジュエリーの中には、
本ボケのジュエリーが多く含まれていたといいます。

一方、高知の室戸沖で採れる血赤の珊瑚は、ヨーロッパでは
「地中海珊瑚よりも赤が濃すぎて下品だ」として、
あまり人気がなかったそうです。
でも、昭和30年頃に書かれた高知の珊瑚業者の記録によると、
インドでは血赤珊瑚は引く手あまただったようです。
現在の珊瑚漁の中心地でいいますと日本と台湾の沖合といえるでしょう。
地中海珊瑚では、チュニジア、アルジェリアあたりのものが出回っています。

コーラルいろいろ
宝石珊瑚以外の珊瑚
それでは、宝石珊瑚のほかの珊瑚についても少しお話しましょう。
六方珊瑚に属するスポンジコーラルは、アクセサリーで
よく使われています。
赤色の「アップルコーラル」、「アフリカサンゴ」とも呼ばれますが、
人気が高いですね。
アップルコーラルは日本でも採れますし、インドネシアで採れたものを
中国で加工したものが入ってきたりします。

ほかにも、小さな枝のような形状の「バンブーコーラル」、
これは「竹珊瑚」とも呼ばれる八放珊瑚の一種ですが、
「シナ海」によく似ており
宝石のように使われることもあります。
バンブーコーラルは深いところでも浅いところで採れまして、
浅いところで採れたバンブーコーラルは竹のような縞がでます

ほかにも、浅瀬で採れる八放珊瑚の一種、「ブルーコーラル」も存在します。
ブルーコーラルはその名の通り、青色ででこぼこしていて、穴が多い珊瑚です。
この珊瑚は日光の届く浅瀬にあって、共生状態にある藻が光合成をして
栄養を珊瑚に送っています。
この点から造礁珊瑚に分類されます。

それから、ハワイでは宝石として認定されている「ブラックコーラル」。
魅力的な黒色をしていますが、宝石珊瑚よりずっと軽い。
非硬質ですので、市場に出回るときは表面をコーティングしていることもあります。

それからブラックコーラルを脱色した「ゴールドコーラル」。
このきらきらとした金色は、ブラックコーラルを脱色して
充てん剤によって発色しています。
しかし、経年変化によりオレンジ色が焼けたような色に
変色してきますので注意が必要です。

模造石についても少しお話ししましょう。
「再生スポンジコーラル」は珊瑚の破片を樹脂と一緒に
練り直しています。
鑑別上では「模造石」となります。
また、模造石の中でも血赤珊瑚と見分けにくいのが「樹脂」です。
どうやって見分けるかというと、斑や、手に持ったときの感触が
手がかりになります。
樹脂のほうが熱伝導が高いので、すぐに温かくなります。
コーラルよりも軽いのも特徴です。

中国で人気上昇中
日本の珊瑚
いま、珊瑚はブームで、とくに中国での人気が非常に上がっています。
中国では昔から翡翠の価値が高いことなどから、
不透明石が受け入れられやすいという土壌もあると思います。
また、珊瑚は加工がしやすいので彫り物にもできることも翡翠との共通点で
人気の理由でしょう。
高知で定期的に行われている「原木の入札会」での入札価格が
現実として上がっています。
高知で落札された珊瑚は、台湾経由で中国へ流れていくことも多いです。
台湾は、中国と関係が深いですし、また、中国には珊瑚を販売するときの法律があるんですね。
そのため、中国事情に精通している台湾の独壇場になっています。

中国で人気が高い珊瑚の種類は、
ピンク系よりも赤系、そして「原木」も人気が高いですね。
原木をそのまま飾ることも多いようですよ。
というわけで、中国での人気を受けていま台湾の珊瑚業界は好調ですね。
日本で採れる珊瑚はこのように世界が注目するほど品質が高いのですが、
業界が閉鎖的なことと、認知度が低いことが影響して
いいものが海外に持って行かれている面があります。
もうすこし、日本発の珊瑚ということを啓蒙してきたいなと思っています。

【質疑応答】

お話しに出た珊瑚の「グレード」は世界基準なのでしょうか。

こちらは『宝石珊瑚の魅力』という本に載っているグレードです。
珊瑚の論文ではどれを見ても使われています。
全世界基準で珊瑚をグレーディングできるような
協会や団体が存在していませんので、
だいたいこちらを目安にグレーディングをしてもらって
よいかと思われます。


血赤と地中海珊瑚は現物を見ても同じ赤色に見えますが
なにが違うのでしょう。

血赤のほうが濃い赤がでますし、サイズが大きなものは
血赤だと判断していただいて構わないかと思います。
希少性は血赤のほうが高いですね。
濃い赤色の地中海珊瑚と
薄い血赤ではどちらが高いのかというと、「薄い血赤」になります。
その理由は、血赤のほうが原木入札のときから価値が高いからです。
珊瑚の入札はギャンブルだといわれることがありますが、
表面からはきれいに見えても、割ってみるとまだらになっていたり、
生育の状況によってマキを起こしたりすることがあります。


入札の様子をお聞かせください。

珊瑚の入札に限っては、だいたい昔からの方が多いです。
組合に属している、入札資格がある人が参加できます。
先ほど、落札された珊瑚が台湾に流れているとお話ししましたが、
それは入札資格がある方から流れているかたちになります。
入札の機会は、通常は年に5回です。
潜水艦で採った珊瑚の入札が2回と、
定期的に行われる珊瑚の組合の入札が6月、9月、12月に行われます。
この1、2年は中国での人気で価値があがってきたというところもありまして、
入札の回数が増えました。


血赤珊瑚の加工はどのように行うのでしょう。

血赤の加工に関しては、彫り物が圧倒的に少ないですね。
これは血赤の原木が価値として圧倒的に高いこと、
あとは、加工の際に「ヒ」が入りやすいことがあります。
ただ、もともととても価値が高いので、
彫刻をする方がいらっしゃらないということもあります。
ただ、腕の良い職人の中にはヒを入れずに
地赤を彫れる方がいらっしゃいます。
その方が彫られたバラは、ヨーロッパの宝飾展で
グランメゾンの方の目にとまりまして、商談もいたしました。


ワシントン条約で宝石珊瑚が標的になるということを聞いた覚えありますが。

ワシントン条約はカテゴライズが1から3までありまして、
カテゴライズ1は、基本的に学術目的以外の輸出入が禁じられています。
2は商業目的は可能だけれども、輸出国と輸入国の許可が必要となります。
目的も明らかにしなくてはなりませんので、こういう手続きが必要となると、
ちょっと貿易がしにくくなります。
3は各国が個別に制限を設けるといもの。
中国は今、宝石珊瑚をカテゴライズ3に登録しています。
そのため、中国で宝石珊瑚を取り扱うときは、原産地証明書が必要になります。
これは、中国産でないことを証明するためのものです。
現在、宝石珊瑚はカテゴライズ3で、ブラックコーラルやブルーコーラルは2に入ります。
2010年、宝石珊瑚をカテゴライズ2にあげるという
アメリカの強いアプローチがありましたが、中国の強い反対にあい却下されました。
ですので、現在、珊瑚の輸出入は基本的に、検札証明書があれば可能という状態です。


先ほど、ブラックコーラルをコーティングをするというお話がありましたが、
珊瑚は着色をしているのでしょうか。

宝石珊瑚は基本的には着色は行いません。
ブラックコーラルに関しては樹脂コーティングされることもありますが
宝石珊瑚に関してはコーティングもしません。
珊瑚で唯一行われる処理が、
シミ抜きのために過酸化水素水に浸けること、
それから彫刻を施した珊瑚の仕上げでバフがけができない部分など、
ものすごく薄めた塩酸をかけて艶を出すことがあります。
ただ、これは日本のルールですから、海外のものに関してはわかりません。
「山珊瑚」--これは本来は珊瑚の化石のことですが、
現在、市場に「山珊瑚」として出回っているものを見ますと
すごく色が濃いものがあります。
これはおそらく、竹珊瑚を染色処理したものと思われます。
その他は「アフリカサンゴ」を他石と偽って販売しているケースが多いです。
ちなみに、珊瑚の組成成分は炭酸カルシウムで、真珠と似ているので
長い間、身に着けた珊瑚は汗などによって
色が若干褪せることがありますが、
バフがけで簡単に光沢が戻ります。


珊瑚を宝飾品に仕立てるときの注意について教えてください。
ルースの穴に芯を立てて接着するのは、珊瑚を取り扱う業者から見られて
やってもいいことなのか。
それから、それをリフォームするときに芯を抜くために熱を加えるのですが、
熱はどのくらいまで耐えられるのかを教えてください。
A
珊瑚は熱が入ると、基本的に「ヒ」が入ります。
そのため、原木を切るときも常に水をかけながら行います。
電動ノコギリをあてときは水をかけながら、
バフをかけるときも休み休み、熱をかけすぎないように注意してください。
水道水は酸性かアルカリ性かどちらに寄っていますので、
そのまま珊瑚の表面に付着させておくと、色合いが損なわれる可能性があります。
かけた後はよく拭き取ってください。
また、芯を立てるために接着剤はよく使いますので、問題ないかと思います。
芯を抜くときは、一瞬だけ剥離剤に漬けて抜く方法もよく行われます。
ただし、彫り物の珊瑚から芯を抜くとき。
日本の珊瑚の彫り物はたいてい一刀彫で仕立てますが、
海外製の彫り物は、珊瑚の破片を接着して仕立てている
ことがあります。こうするとすごくコストが安く作れるんですね。
海外から仕入れた珊瑚のバラを剥離剤に漬けたら
バラバラになってしまったと聞いたことがありますので、
気をつけてください。

(了)

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